温泉ソムリエ
登山と温泉は、私にとっては切っても切れない関係。
そこで、温泉について勉強しようと思い、温泉ソムリエ講座をネットで学習をしてみた。
講師は、温泉ソムリエ家元・遠間和宏氏。氏は、新潟県妙高市の赤倉温泉・遠間旅館の主人。
- 温泉とはなにか?
- 温泉ソムリエって?
もくじ
はじめに
「温泉」とは?
日本では、「温泉法」でちゃんと定義されています。
<温泉法第二条>
この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。
まずは、「地中からゆう出する温水」というのがポイントで、海水は「地中からゆう出」していないので、「温泉」にはあてはまりません。
ちなみに、海水は温泉の「塩化物泉」に相当する成分を有し、最低の規定値の約35倍ほどの濃度があるので、「温泉ではないけど温泉のような高い効果がある」と考えられています。
- 温度(温泉源から採取されるときの温度とする。)が25℃以上であること。
または - 含有成分に関する19の特定の条件のうち1つ以上規定値に達しているもの。
「温度」か「成分」のどちらかが規定値に達していたら「温泉」です。
したがって、冷たくても温泉、成分が含まれてなくても温泉となりえます。
ちなみに、日本は大体1000mほど掘れば温泉がでてくるということを耳にしますが、それは地中を100m掘るごとに地下水の温度は2~3℃前後上昇することからきています。
<鉱泉分析法>
- 源泉温度が25℃以上であること。
または - 含有成分に関する7つの特定条件のうち1つ以上規定値に達していもの。
(※平成26年の鉱泉分析法改訂に伴い、「含アルミニウム泉」「含銅泉」は療養泉から除外され、「含よう素泉」が加わり、「療養泉」は10種類)
温泉の中でも「泉質名」がつくものとつかないものがあります。
「療養泉」に該当しないと「泉質名」がつきません。
例えば、総硫黄が温泉1kg中に1mg以上含有されていれば、「温泉」ですが、それだけでは泉質名はつかず、2mg以上含有されていれば、「療養泉」と認められ、「硫黄泉」という泉質名がつきます。
泉質名がつくと、「適応症」が認められます。
例えば、「硫黄泉」ですと、「泉質別適応症」として、「アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える)」が温泉分析書に記載されます。
ちなみに、療養泉は薬ではないので、「効能」と言ってはならないようです。
また、「一般的適応症」が全ての温泉分析書に記載されていますが、これは「温熱効果」によるものなので、自宅のお風呂でも同じだそうです。
「温泉ソムリエ」とは
「温泉」と「ソムリエ」を組み合わせた造語で、「温泉」の知識と「正しい入浴法」という技術を身につけている人とされています。
そこで、「温泉ソムリエの入浴五か条」があります。
その一 入浴前後に1杯ずつの水を飲むべし!
入浴すると、発汗作用により血液粘質が高まり、「ドロドロ血」の状態になるので、入浴後だけでなく、入浴前にも水分を補給するのが良いとされています。
おおまかに、10分程度の入浴で400~500mlの水分を失うと考えられています。
その二 入浴前には、足先など心臓の遠くから順に十分な「かけ湯」をすべし!
「かけ湯」は、体の汚れを落としてから入浴するというマナーというだけではなく、温泉の泉質や温度に体を慣らすためのものです。
心臓に負担をかけないように、心臓から遠い足先などから十分な「かけ湯」をすることが望ましいとされています。
その三 頭には濡れたタオルをのせるべし!
立ちくらみは、全身の血の巡りがよくなる分、頭の血流量が減る状態なので、熱いお湯をしみこませたタオルで頭の血管を開くことが大事です。
のぼせは、頭に血がのぼったオーバーヒート状態なので、逆に冷たい水をしみこませたタオルをのせるのが良いです。
その四 一気に長湯せずに、「分割浴」をすべし!
一気に長く入るよりも、分割して休みながら入る方が、体にとって負担が少ないし、湯冷めしにくいです。
例えば、3分を3回繰り返して合計9分入浴した方が、一気に10分入浴するよりも湯冷めしにくいようです。
その五 疲労回復には、膝下の「温冷交互浴」が有効なり!
膝下にお湯をかけること3分、水をかけること1分、これを3~5回ほど繰り返すと、末梢神経が広がり、疲労物質が排泄されやすくなるので、疲労回復に抜群です。
心臓に負担をかけないために、水については膝下が望ましいが、お湯については普通の入浴でも大丈夫です。
この「温泉ソムリエの入浴五か条」は、温泉(お風呂)に入浴するにあたって、より安全に、より効果的にという観点からできたものです。
2018年のデータですが、入浴中に何らかのアクシデントが起きて命を落とす人の数は年間約1万9000人と推計されていて、家庭の浴槽でさえも5000人をこえています。同時期、登山者の死亡者数が約3000人なので、入浴自体はもとより家庭の浴槽入浴も登山するよりも危険性が高いと言えます。
十分な水分補給をして、心臓に過度な負担をかけず、適度な温度で適度な時間の分割浴、そして温冷交互浴を心がけることが望ましいかと思います。
温泉には、物理効果(温熱効果・水圧効果・浮力効果)、転地効果、薬理効果があるとされています。
登山の後、安全に入浴して、温泉も楽しみましょう!!!
ちなみに、
昨年私が行った温泉の中で一番良かったのは、夏油温泉(ナトリウム・カルシウム-塩化物泉)!
家元監修の著書『究極の癒やし湯』1度は泊ってみたい!かけ流しの名湯・秘湯28に「元湯夏油」が載っていた。露天風呂はすべて足元湧出泉で、江戸時代の温泉番付では東の最高位にランクされていた名湯と書かれていた。
激熱の「大湯48℃!?」との対決もあったし、何カ所も露天風呂があって、しかもその側をすぐ川が流れていて、すぐに天然水風呂を味わえる☆
いやー、また行ってみたいな~。
参考
山岳遭難者数の推移
入浴中の急死データ
温泉法
鉱泉分析法
記:ryuji