リペアの話

昨年のGWに宝剣岳に登った際、最後の頂上への登りで大きく脚を上げた時にノースフェイスのハードシェルパンツにアイゼンを引っ掛けてしまった。購入してまだ2年弱、いつかはやるかと思ったがこんなに早くその時がくるとは。

リペアキットを買ってきて自分で補修することも考えたが、購入からさほど年月が経っていなかったこともあり、今回は正規のリペアセンタに出すことにした。

ノースフェイスのリペア

早速最寄りの店舗を調べたところ三郷のららぽーとにノースフェイスがあることが分かった。早速電話をかけ、送料を節約するために店舗への持ち込み希望を伝えたところ、「ノースフェイスのアプリから会員登録(無料)していただければ、そこから申し込み手続きできますよ。送料も弊社持ちです」との思いがけないお返事。さっそく電話を切って専用サイトの案内に従って手続きを進めた。

必要な記入事項は、住所氏名電話番号のほか、購入した店舗名と購入時期も記入要とのことで、レシートを探し出して入力する。さらに商品の製造番号と補修箇所をそれぞれ写真に撮って、画像データをアップロードし、修理内容はあて布による修理を希望した。

着払いで現品を送付後、1週間程度でメールによる修理内容と修理金額の連絡があった。その額なんと2,200円(税込)という破格の安さ。往復の送料が無料と聞いた時点で、まぁそれほど高額な修理代は請求されまいとは思っていたが、まさかそこまで安いとは思わなかった。

修理を依頼しておよそ1か月後に届いた製品は、しばらく修理箇所を探したほどの見事な出来栄え。へたに自分で修理しなくて良かったと心から思った。

修理前    

 

修理後

これは偏見以外の何物でもないが、ノースフェイスは本格アウトドアブランドというよりもどこか「街着のお洒落なんちゃってアウトドアブランド(失礼)」というイメージがあったが、今回の一件でそんな偏見は吹き飛んでしまった。

パタゴニアのリペア

同じ年の夏、九州に遠征に行った時、今度はパタゴニアのダッフルバックのメインジッパーを閉める際に、同パタゴニアのフーディニジャケットを噛み込んでしまい、思い切り引っ張って取ろうとした際にジッパーが壊れてしまった。噛み込んだ方のフーディニは全く無事であったが、ジッパーの方は自分ではとても直せそうになく、ノースフェイスの時と同様にパタゴニアのリペア専用サイトから修理を申し込んだ。

パタゴニアについては、返品や交換に対する敷居が低く無料で受け付けており、個人的にも信頼のおけるブランドというイメージであったため、今回の修理費用もさほどかからないだろうと踏んでいた。こちらは発送時の送料は自腹だったものの、修理代はゼロ、品物を返送してもらう際の送料550円(税込)がかかっただけであった。

ノースフェイスにしてもパタゴニアにしても「新製品への買い替えを促すよりも、自社の製品を修理して長く使用してもらうために、リペア代で儲けようとは思っていない。」というアウトドアブランドの矜持のようなものを感じた。

話は変わるが、パタゴニアは過去に「Don’t buy this jacket (このジャケットを買わないで)」という広告を出している。

いったいどこの世界に、自分の製品を買わないでなどという広告を打つメーカーがあるのかと思ったものだが、環境問題に力を入れている同社ならではの、購入の際にはよく考えて無駄な購買を抑えてほしい、というメッセージなのだそう。

案の定、こんな広告は偽善だという声も上がったようだが、こういった企業理念が、自分がパタゴニアを好きな理由のひとつでもある。

さて、ジッパーに噛み込んでしまったが無傷と思っていたフーディニジャケット、のちにフードの部分が思いっきり破れていたことに気付いた。自分の山行には必ず持っていく相棒のようなこのジャケット、即座にセール品を新たに購入したが、相棒を手放すのが急に惜しくなり、結局それも修理に出すことにした。こちらは修理費2,200円(送料、税込)で予想より高かかったが、明らかなあて布部分が逆に愛らしく、一層の愛着が沸くこととなった。

記 Sady