歩き遍路 2日目・3日目・5日目

914日(火)2日目

8番札所 熊谷寺を納経開始の7時に納経帳を納め、午前中のうちに、20kmはなれた11番札所の藤井寺まで来た。
急いで回るのは、勿体無いと思いつつも、午後から阿波国の最難所である焼山寺を超えていこうと決めたから。
ところが、コロナの影響のせいもあり、焼山寺の宿望を始め、周辺の宿は休業ばかり。やむを得ず、焼山寺から更に峠を越えた宿に連絡すると、「この雨の中、午後から焼山寺を越えてくるなんて辞めておきなさい」と親切に断られてしまった。
やむを得ず、1つ手前の藤井寺付近で宿をとる。
チェックインには、まだ3時間もあるけど、宿は快く「もう部屋の準備してるからどうぞ」と通してくれた。
びしょ濡れになった靴へ新聞紙を詰め込むように言われ、また優しさに触れる。
たった二日なのに、金剛杖も毛羽立ってきた。先はまだまだ長い。

 

9月15日(水)3日目

股擦れが痛い。「遍路転がし」で有名な焼山寺を経由して、大日寺に向かった。
通常2日かかっていくところを、1日で行ってしまえ。と、体力の過信と旅費をケチった理由で薄暗い中、登山道を登り始める。

両脇には、遍路転がしで犠牲になった先達たちの墓石が見送るようにならんでいた。
普段なら気味悪く思うのに、お遍路は不思議なもので大して思わない。
弘法大師さんのおかげなんだろうと納得する。
コンビニ寄ったり、タバコ休憩しながらでも、無事に宿にも到着。

ところが風呂に入った途端、股間両サイドに痛みが…見ると太もも側にオレンジに変色したミミズ腫れが出来ていた。
すげー痛い。とにかくヒリヒリする。冷やしたいけど冷やすものも無いし、クリームすら無い。

まだ序盤だというのに、股間がもつか心配になり始めた。

 

917日(金)5日目

いつも朝5時には起きれるのに、深夜に何度も目が覚めてしまった寝不足で6時30分に起きた。
慌てて支度して、ビジネスホテルの1階で朝食バイキングを取る。
久々のビジネスホテル、数ヶ月前は、仕事の出張で当日のスケジュールを確認しながら、お気に入りのボタンダウンのワイシャツを汚さないように気をつけて朝ごはんを食べてた頃を思い出す。
機械的にチェックアウトを済ませて、19番札所「立江寺」へ向けて歩き出す。
台風と夕方にバッチリ落ち合う予定なので、朝から土砂降りのため、カッパを着込んで出かけた。
足の裏は、マメが出来ていた。

1時間ほど歩いてお寺に到着した。
立江寺の職員は、台風が直撃するため香炉に蓋をし、「台風が来るんで、線香は遠慮してください。ローソクはそっちで。」とあしらうように言われる。
納経帳をお願いすると、返事もないまま書き入れ作業を済ませて、スマホに夢中の塩対応。ビジネスホテル以下に無機質だった。
昨日の18番「恩山寺」も同様で、境内のロウソク立ても汚いし、納経帳の書き入れが終わり、300円の支払いが終わり、納経帳を袈裟袋に入れようとしたあたりで、ビシャッと小窓を閉めてしまう。
愛想良くして欲しい。とは言わないまでも…残念な感じがする。

20番札所「鶴林寺」に向かう道中、勝浦川沿いでサイレンが鳴り響き、『台風が直撃のため、ダムを予備放水します。川沿いで作業の方達は、ご注意ください。』と警戒放送が繰り返される。
20番札所から22番札所まで、お遍路の2番目の難所「遍路転がし」がある。
宿は取って無いので、行くしかない。と覚悟を決める…が、視界が悪くなるほど雨足が強まり、不安になって、道の駅で早めの昼飯を済ませつつ、ネットとお遍路本で5箇所くらいの宿へ連絡するが…どこも電話に出ない。
二日前にお世話になった宿「名西旅館」へ連絡すると、「ふれあいの里さかもと」なら開けてくれるんじゃないかと。
早速、連絡するがやはり出ない。そして寒い…。
身体を動かさなくなると雨に濡れた身体は一気に冷える。
「台風の野宿やべーな」とか思いつつ、宿名簿を睨みつけていると、携帯に着信。
「さっき電話に出られずにごめんなさいね。今日ですか?これから鶴林寺??鶴林寺に行くなら、峠を越えた「碧旅館」に泊まる方が良いですよ。こっちに戻ってくるのも大変だから。一度、碧旅館に聞いて見て。ダメならもっかい電話してきてね。」と電話が切れた。
碧旅館へ連絡すると「ほんとにごめんなさい。ウチは山間部にあり、台風が直撃したら停電や断水で避難しなければならなくなります。なので泊めてあげることが出来ません。本当にごめんなさいね。」と断られてしまった。
ため息混じりで、再び、さかもと旅館へ連絡すると、「葵さんもダメやったんか。そしたら、鶴林寺に行って再び道の駅まで戻ってきたら連絡ください。迎えに行きますから。あっそうそう!重たいザックも道の駅に置いて行きなさい。今から道の駅の方に伝えておくから大丈夫。預けてください。」とおばちゃん特有の早口で、電話が切れる。
道の駅に入ると、男性が「石川さんですか?」と声をかけられ、そのままザックを預かってくれる。
宿も見つかり、ザックもデポし、心身ともに身軽になり、勇んで遍路転がしの登山口へ小走りで向かう。
しかし、再び着信が入る。
「さかもと旅館やけど、雨足が酷くなってきてるね。21番札所に行くにはどっちみち明日も鶴林寺を通らねば行けん。だったら明日行きなさい。15時チェックインやけど、部屋も用意してあげるから道の駅で待っててな。すぐ迎えに行くけん。そこを動かんでね。」とまた早口。
更に、携帯にショートメールが届く。


登山口から道の駅に引き返して、預けたザックを受け取り、まもなく軽バンでおばちゃんが迎えに来てくれた。
「ごめんよー。最初から言ってあげれば良かったね。雨に濡れたでしょ。早めに風呂入れるようにしたる。」と70歳近くのおばちゃん。
さかもと旅館への道中、「お遍路さんも気合いを入れて登って行くけど、中々連絡が来ないとなると、『お遍路狩り』って物騒な名前やけど皆で探しに行ったりするんよ。」と、おばちゃんが話していた。

足には、マメが7箇所出来てた。


心とマメに沁みるよ。おばちゃん。

記:お遍路さん

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