歩き遍路 38日目 四国八十八ヶ所巡り一番札所へ御礼参り

1021日(木)38日目

八十八ヶ寺のお寺を全て回り終わり、一番札所「霊山寺」へ御礼参りに向かった。

20kmの距離が改めて遠く感じながら、十番札所の「切幡寺」を通り過ぎ、1ヶ月強前に急かせかと歩いた道を逆戻りする。この時は、お遍路作法や宿の手配が心配で、一つ一つのお寺の歴を感じる余裕も無かったなぁ…と噛み締めながら歩いた。
「霊山寺」に着き、納経所で忙しなく動いているおばちゃんに「お世話になりました。」とお礼を伝えると「おめでとう。頑張ったね。」と返事してくれた。雨と汗でボロボロになってしまった納経札を見せて、本堂に納めた。

 

顔を上げると、山門入り口で40リットルはあるザックを背負い、更にガラガラとスーツケースを引き摺るように転がしながら、オロオロしてるおじさんがいた。
納経所のおばちゃんを見るが、それどころじゃない様子で、このおじさんに作法を教えてあげられないらしい…。
声をかけると安心したようで、堰を切ったように、「本当に何もわからないんです。どうしたら良いのか…線香あげて、次の札所に行けば良いのですか?納経帳は何処で貰うのですか?ローソクって無くても大丈夫ですか?」と矢付き早に質問攻め。
そりゃそうだろうな…と、ひと月前の自分とほぼ同じ心境。
「初めから、一緒にやりましょう」と伝え、山門入り口に戻り、合掌礼拝し境内に入る。
本堂での作法と大師堂で納経、読経を一緒に行わせていただいた。読経は周囲から注目されるほど、辿々しく、読み間違えするし、つっかえるし、何度も同じところ読むし、挙句、声もデカイ(笑)。
お遍路あるあるの一つに、いつの間にか「般若心経」がすらすら読み始められ、覚えられるという不思議な現象がある。私自身、完璧ではないにしても、もうある程度何もみずに読経することができるようになったが、初めは、このおじさんと同じだった。
おじさんが読み終わるのを隣で待ち、
「周囲に人がいるときには、邪魔にならない場所で読みあげる。時として声に出さず、心で読むことも大事だし、お遍路は心配りの旅です。」
と、生意気に説明していた。
ずっと愛用していたターボライター(ローソクに火を灯すときに普通のライターでは、雨風が強いときにものすごい困る)をおじさんに渡して、「何が何でも、ここに戻ってきてください。では頑張って。」と、おばちゃんが言ってくれたように二番札所へ送り出した。

その後、高速バスに乗り込み大阪へ向かった。
大阪で一泊して朝から高野山へ向かうためだ。

バスを降りて、難波の安ホテルへ向かう最中、沢山の人が往来してる姿や市街地を久々に見て、一気に食欲が失せた。
大自然に囲まれ、一日中、山の中を歩き続けて誰ともすれ違うこともない日さえあった生活から一気に大都会に来たのだから仕方がないのかもしれないが、どっと疲れが出た。

満願之証

記:お遍路さん

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