歩き遍路 22日目・24日目・25日目
もくじ
10月5日(火)22日目
連日30度の猛暑…相変わらず右足の脛が痛い。
宇和島市を越え、西予市の43番札所「明石寺」へ納経に上がる。石段を上がり、荘厳とした境内を参る。御本尊は、千手観音菩薩。
沼Pから「観自在菩薩」、「観世音菩薩」、「観音菩薩」の違いを教えてもらった。
『観世音のときは、
自分の外に、観音様をみて拝むときに使い、観自在のときは、自らの内に、菩薩様をみたときに使うっていう考え方ね。
ということは、観音像をみて拝むときは、観世音菩薩様となり、真言を唱える。
では、観自在菩薩と書かれている般若心経を唱えるときは、どういう感じになるでしょうか?
それを考えて、般若心経を唱えてみると、より深くなる気がします。』
沼坊は、すげーな!
オレは足が痛い…。
そして、日焼けがすごいから…と宿でもらったパックをしてみたら難しかった。
10月7日(木)24日目 晴れ
愛媛県の内子町を出て、難所の一つである大宝寺を目指す。
距離は、45kmくらいになる。
数日前の自分ならば、よし行ける!と勇んで向かっていたはずだが、右足の脛は相変わらず鈍痛がする。更に庇って歩いていたため左足の付け根の尻の方まで痛みが出始めた。
お遍路と登山は、似ていると思う。
スポーツでは無い。
競争や記録づくりでも無い…もちろん登山の楽しみの一つにスピードを競うこともあるだろう。でも『何を感じたのか』…がとにかく重要であること。
時間の許す限り少しずつで良い。と自分に言い聞かせて20km先の宿に泊まることにした。
宿は、相変わらず親切なおばちゃんがいて、「足痛いのかい?そりゃ痛いわな。お遍路だもの。ゆっくり風呂入れ。」と軽く言われたことがとてもありがたい。
残り、500〜600kmを歩くことを考えると、やはり不安になるが、おばちゃんの軽い対応は、「大丈夫だよ。行けるよ。」に聴こえた。
10月8日(金)25日目
今日のへんろ道は、山中の峠道が続いたのでテンションが上がり、40km歩けた。
右足の脛に筋肉が剥がれるような痛みが続き、また左のケツも痛い、宿までの残り7km迄の道のりは、5分おきに立ち止まる状態だった。
札打ちした44番札所の「大宝寺」の仁王門は立派で、歴史を感じさせる古さと大きさ、更に仁王さまが悠々と構える様に、思わず「おー」となる。険しい峠を越えるほど、一際感動してしまう。
この落差が心身ともに響いてくるらしい。
お寺で数分一緒だった爺さんも
「もう何周したかなぁ。あんたもお遍路病になると思うよ。なんでか知らんけど…また四国にきてしまうんだようなぁ。」
とぼやいていた。
お遍路病は、とにかくかかり易いらしい…他の人からも聞いた。今の自分には「いや…こんな大変な思いは、これきりにしたい」としか思えないのだが…。
宿への帰り道…交差点で79歳になるタケチさんという爺さんが駆け寄ってきて、「お接待だから」とミカンジュースを買ってくれた。
お遍路病…やっぱり症状が出てしまいそう。
記:お遍路さん